7.“アレルギー”の検査

皆さんが小児科で受ける検査には次のようなものがあります。

@IgE(アイジーイー)検査
 即時型(はっきり型)の検査です。アレルギーの原因となる物質が身体の中に侵入するとその物質だけに反応する特別なIgEという蛋白質が出来ます。2回目に同じ物質が体内に入ってくるとそのIgEがアレルギー原因物質とくっつき、アレルギー反応を引き起こします。IgERIST(イジーイーリスト)検査はIgEの総値を、IgERAST(アイジーイラスト)検査は個々物質に対する特異的なIgEを測っています。IgEの値が高い場合(IgERASTスコアー3以上)、はっきり型のアレルギー(数分から数時間以内に起こりはじめるタイプ)は起こしやすくなります。但し、この値が低いからといってアレルギーを起こさないとはいえません。陰性でもアレルギーは起こります。アレルギー反応がIgEだけで起こるわけではないからです。
 原因と同時に、誘因となる他のアレルギー、ダニや花粉、ペット、カビなどのアレルギー状態も調べます。

Aリンパ球刺激試験
 細胞性免疫を調べます。反応がはっきり型よりも遅く現れ、長く続き患者さんを苦しめる遅延型(かくれ型)の検査です。このアレルギーが強く出る場合は薬を使っても急には改善しないため、入院になることが多くなります。血液中からリンパ球を取り出し、原因と思われる物質からエキスを取り出してリンパ球をふりかけ、その物質に反応して増殖するリンパ球があるかどうかを見ます。現在の医療制度では保険が利かないため、1項目で数千円かかります。食べたそのものを、血液と一緒に出せば検査できます。(検査会社:SRLなど)
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B皮膚テスト:
 スクラッチ・プリック、皮内注射(ミラー法も含まれる)、皮下注射などがあり、原因と思われる物質のエキスを皮膚に垂らして引っかいたり(スクラッチ)、軽く刺したり(プリック)、皮内や皮下に注射して発赤や腫張が出ないかどうかを検査します。皮膚に原因となる物質のエキスを注入するため、反応しやすい場合は、この検査を施行してアレルギーを起こす場合がありますので、十分な監視・救急体制化で行なわなければいけません。

ミラー法:J・ミラーによって考案されたアレルゲンの診断と治療方法。アレルゲンの濃度の異なる希釈液を皮内に注射して、皮膚などに現れる反応と反応と誘発される症状、あるいは消失する症状からアレルゲンの診断をする。又、アレルギーで起きている症状を消失してしまう特定の濃度の希釈液を定期的に注射して、アレルギー疾患の治療に使われる。但し、主にアメリカで行なわれているようだが、我が国ではあまり普及していない。診断に費やす時間と症状を起こすことによる危険を伴うため専門家の管理下で行なう必要がある。そのため、保険診療下では困難なようだ。
角田先生は、「アレルギーっ子に勧めている食事・食べ方はこの効果と同じことが期待でき、より自然な治療術だ」とおっしゃっています。

C血液中細胞の検査:
 血液中好塩基中(即時型アレルギーを起こす)、好酸球(遅発型アレルギーを起こす)などのアレルギー症状を引き起こす化学物質(ケミカルメディエーター)を放出する白血球数を調べ、アレルギー状態を見ます。

D肝機能検査:
 肝臓の働きが悪いとアレルギーを起こしやすくなるため、必ず検査します。

E栄養状態の検査:
 血中の蛋白質・脂肪・貧血などの検査をします。特に、脂肪の検査で血中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を調べておくと、アレルギー反応の強さを推測できることがあります。LDLコレステロールの高い人は症状が強く起こる場合があります。

F感染症の検査(溶血連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、マイコプラズマ、単純ヘルペス感染など):
 溶血連鎖球菌や黄色ブドウ球菌、マイコプラズマなどの感染は細菌の作った毒素のために激しい症状の出ることがあります。単純ヘルペス感染も同様です。その他のウイルス感染症でもジンマシンなどのアレルギーを起こす場合があります。

G腸内細菌の状態(カンジタや病原性腸内細菌の状態):
 便の培養はできる限り行います。病原性腸内細菌やカンジタの仲間の異常な増殖は、作り出される毒素のために腸内の消化吸収が正常に保てなくなり、急激なアレルギー症状を引き起こしやすくさせます。

H咽頭の培養:
 咽頭の培養や溶血連鎖球菌の定性反応で毒素を作る細菌の感染状態を調べます。必要があれば皮膚の感染症の状態(細菌、カビ、単純ヘルペス感染など)を調べます。

I肺機能検査:
 肺の働きを調べ、喘息の状態を評価をします。

J心電図・胸部レントゲン:
 不整脈・他の心臓の疾患を調べます。

Kその他の様々なアレルギーの検査:
 その他ヒスタミン遊離検査など専門的なアレルギー検査は多種にわたります。その施設やお医者さんによって様々です。
 これらを結合して原因を見つけ出すことになります。検査は病院で受けなければなりませんので、かかりつけのお医者さんか、専門の病院で相談して調べてもらう必要があります。原因を見つけ出すためには経験と環境・食品・化学物質についての知識が必要です。

アレルギーの原因が判ればそれなりの対策方法が見えてきます。
 

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