15.お母さん・お父さん・ご家族の皆さんへ

子は親の鏡

けなされて育つと、子どもは、人をけなすようになる
とげとげした家庭で育つと、子どもは、乱暴になる
不安な気持ちで育てると、子どもも不安になる
「かわいそうな子だ」と言って育てると、子どもは、みじめな気持ちになる
子どもを馬鹿にすると、引っ込みじあんな子になる
親が他人を羨んでばかりいると、子どもも人を羨むようになる
叱りつけてばかりいると、子どもは「自分は悪い子なんだ」と思ってしまう
励ましてあげれば、子どもは、自信を持つようになる
広い心で接すれば、キレる子どもにはならない
誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ
愛してあげれば、子どもは、人を愛することを学ぶ
認めてあげれば、子どもは、自分が好きになる
見つめてあげれば、子どもは、頑張り屋になる
分かち合うことを教えれば、子どもは、思いやりを学ぶ
親が正直であれば、子どもは、正直であることの大切さを知る
子どもに公平であれば、子どもは、正義感のある子に育つ
やさしく、思いやりをもって育てれば、子どもは、やさしい子に育つ
守ってあげれば、子どもは、強い子に育つ
和気あいあいとした家庭で育てば、子どもは、この世の中はいいところだと思えるようになる

 この詩は世界10カ国で愛読され、我が国でもベストセラーになっているドロシー・ロー・ノルト著『子どもが育つ魔法の言葉』(PHP研究所)に書かれているものです。私は、基本的には「子どもは親の背中を見て育つ」と思っています。親がいくら表向き善人であろうと、大人風を吹かせて屁理屈をさも正論のように説教しようと、体力にもの言わせて押さえつけようしても、子どもは冷めた目で見、判断しています。「この親は尊敬に値する人間だろうか?」、「この大人は信頼するに値する人間だろうか?」と。ですから、この詩に書かれていることはもっともなことで、当然、親であるならば、我が子のために当然すべきことだと思っています。
 私が学生の頃よく読んだ本の中には加藤諦三氏(早稲田大学教授)のものが多かったように記憶しています(タイトルも忘れてしまったものも多いですが……)。今でも手元にあるのが『アメリカインディアンの教え』です。これは私が一人息子に対して心掛けてきたことと同じでしたので“子育てのバイブル”と評価していたものですが、最近になって、アメリカインディアンの子育ての知恵ではなく、一女性が書かれた詩「子は親の鏡」を訳したものであったことを知りました。

 この詩をまず最初に書いたのは、ご両親に判っていただきたかったのです。子どもが問題行動を起こした時に、よく、その子のお母さんは「何でこんな子になっちゃったんでしょうか?」とか「こんな子に育てた覚えはありません!」と言います。そして、お父さんはお母さんに対して「お前がちゃんと躾なかったからこんな子になったんだ!」と責め、子どもにも、「我が家の恥だ!」とか「俺が職場でどれだけ肩身の狭い思いをしているのか、お前に判るか!」とか言います。しかし、お子さんはちゃんと見ているのです。あなた方ご夫婦の普段の生き様や言動を。そして、子どもなりに評価した結果、ありのままの自分をちゃんと見て欲しくて問題行動を起こしている場合と、「私の両親は尊敬するに値しない人達だ!」と判断して、あなた方に迷惑を掛けたくて起こしている場合があると思います。
 「子どもは大人のコピーです」というCMが昔ありました。確かにそのとおりなのです。良いことを教えるのも大人なら、悪いことを教えるのも私達大人なのです。そして、それは日常生活の中の普段の生活・言動の中で学んでいるものなのです。“力”を使って“躾”なくても、子どもはちゃんと学んでいるのです。私達大人がちゃんと子ども達に“模範”となる行動さえ取っていれば、子ども達もちゃんと成長するのだと思っています。
 最近の大人を見ていて感じるのは、
@確信犯(悪いこととは判っているが、見つからなければ良い、誤魔化せば良い、シラをきれば良いと思っている)
A自己中心的(他人に迷惑を掛けても、自分さえ良ければ良い。マナーもモラルも公共心も無い)
Bすぐ居直る(絶対に誤らない)
C子ども達と同レベルの思考力※(2003.09.18 行頭の「アダルトチルドレン」と言う言葉を削除)
D享楽主義
の人達(=子ども達の“手本”にならない人達)がやけに増えた、ということです。

 バブルが崩壊し、一流企業が相次いで倒産する中で、それまで多くの人が幸福を得るために必死に目指してきた「一流大学から一流企業へ進む」ことが意外にも脆く崩れ去った現実を見せられた中で、人の“心”も傷ついてしまったようです。エリートになることが幸せである。お金を沢山持っていることが幸せである。美味しいものを好きなだけ食べられることが幸せである。大きな家に住み、きれいな服を着れることが幸せである。外国旅行をできることが幸せである。そのために、勉強漬けの青春時代。親も子どもが勉強さえしていれば他は何もしないでも良かった。成績だけが子どもの評価、子どもの成績だけが親の評価の生活。友達は要らない。すべて周りは敵。こんな生活の中で、つまづきも挫折もなく来てしまった。
 私のようにエリートの道を目指さず、失敗や挫折などの“回り道”を沢山して来た者には何てことないことでしたが、自分達の“夢”や“目標”が崩れ去ったことで、“エリート”と呼ばれてきた彼等には特に顕著で、今まで“自信”と“優越感”の中だけにいてつまずいたことがなかっただけに、その現実を認めるのにはかなりのショックがあっただろうと推測されます。これは、偏に政治・教育を含め、私達日本人全ての大人の責任でもあります。親が子を守りすぎた“ツケ”、人生を教えてこなかった“ツケ”、“家族”を全員で作って来なかった“ツケ”を、今払わされているのです。その現象の1つが最近増えている“引きこもり”だと思っています。 

 今までのような“幸福感”や“価値観”をいつまでも子ども達にも求めていては、きっと子ども達はその息苦しさや見通しのなさから失望し、生きることを楽しめないと思うのです。自分に自信が持てず、自分の“夢”や“目標”が見つけられず、自分が何のために生きているのかも判らない中で、不安だらけなのです。お母さんやお父さんだって、以前は子どもだったでしょう? その時の不安や疑問、憤りは同じように経験されたはずです。それなのに、子ども達にも同じ苦労をさせたいのでしょうか?
 お母さん・お父さんはお子さんにどんな人生をお望みですか? 自分のお子さんだけ幸せなら良いのですか? ちょっとした失敗に傷つき、人生を終えてしまう子になってしまって良いのですか? 家族を含め周囲の人達の中で孤立し、信頼しあえなくても良いのですか? 親はどうしたって先に死にます。いつまでも子どもを守ってあげることは出来ないのです。それならば、1日も早く自分の力で生きていける、自分の人生を切り開いていける子どもに育てることが大事なのではないでしょうか?

 このHPにおいで下さった方は、多分アレルギーや注意欠陥・多動性症候群、アスペルガー症候群などと言われたお子さんをお持ちの方だと思います(本当は“親”や“大人”の仮面を被って、子ども達の信頼や夢や希望を壊している人達に見て欲しいのです。一番“普通”で、一番傷ついていて、一番危険な状態にあるのがその方達のお子さんだと考えているからです。でも、そうした方々はご自分を振り返ったり、“努力”しようとはしないし、子どもに何かあっても自分の責任とは考えずに周囲の責任にして済ませてしまうでしょうから、こんなHPを見ようとも思わないでしょうけどネ)。まずはそのことにショックを受け、どうしたら良いのか、子どもの将来はどうなってしまうのかご不安な方だと思います。結論は簡単です。いつまでもお嘆きになっているのではなく、お子さんの病気や症状の“プラス面・マイナス面”を知って下さい。お子さんの性格や個性の“長所・短所”を見つけ、理解してあげて下さい。そして、それらをどう生かし、どうしたらお子さんが自分の人生を精一杯生きていけるかを、お子さんと一緒に考え、一緒に問題解決のための努力をして下さい。主役はあくまでもお子さんです。お子さんの人生です。ご両親がお子さんの人生のレールを引くことは止めて下さい。ご両親や主治医の先生や私達はあくまでもアドバイザーに過ぎないのです。
 そして、急がないで下さい。焦らないで下さい。結果を求めすぎないで下さい。お子さんに「普通」を求めないで下さい。そして、疲れた時には休ませてあげて下さい。そして、結果に失望した顔や諦めの顔を見せないで下さい。お母さん・お父さんが自分を理解し、一生懸命一緒に生きてくれていることを実感出来ていたら、お子さんは絶対頑張れますから……。

当HP内の掲示板『自分育て・親育て・子育て』にてけんけんさんよりご指摘をいただき、安易に“アダルトチルドレン”と言う言葉を用いてきてしまったことを反省し、“アダルトチルドレン”削除させていただきます。
 言い訳になりますが、このコーナーを書いたのがもうかなり以前のことなのではっきりとは記憶していないのですが、本来の意味合い<アルコール依存症の患者がいる、機能不全の家庭の中で育てられた子ども(大人)>や使い方とは違っていることは承知していました。しかし、拡大解釈されて様々な家庭環境の問題からそうした大人になってしまうことも含んで書かれていたものをそのまま記載してしまいました。
 しかし、けんけんさんよりご指摘を受け改めて勉強し直し、考え直してみましたところ、かなり乱暴な説明であり、これだけでは不十分な表現であり、当事者の方々には不快感を与え、一般の方々には誤解を与えかねないことを認め、削除してお詫び申し上げます。ご指摘いただきましたけんけんさんには心より御礼申し上げます。(2003年09月18日)

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