アレルギーっ子の生活

<04-48      2001年09月27日(木)公開>

【よく消化したもの、発酵したものを食べる】

 中和療法は、アレルゲンをアレルギー反応の最初の場所である皮膚を注射針を使うことで通過させ、皮下組織にいる抗原提示細胞(ランゲルハンス細胞、樹状細胞や単核球、マクロファージなど)に直接アレルゲンを接触させてアレルギー反応を起こさせなくさせる治療法です。しかし、同様のことを、日本人は日本の生活の中でおこなってきているのではないかと考えています。

 最近の研究で、アレルギーの原因となる蛋白質の構造が一部だけ変化した蛋白質の中には、その蛋白質に対するアレルギー反応を抑える働きがあることが分かってきました。つまり、よく消化された食品、微生物の働きで発酵された(体外での消化とも考えられる)食品の消化物の中にはこのように変化した物質が含まれている可能性があり、これらのよく消化された食品を食べることで、その食品に対するアレルギー反応を抑えこむことができる可能性があります。

過剰なアレルギー反応を抑えて、アレルギー疾患を軽減させる  @アレルギー反応を起こす物質→原因物質のアミノ酸構造はそのまま(生のまま食べる、簡単な調理、消化しにくいもの)→アレルギー反応増強  Aアレルギー反応を起こす物質→原因物質のアミノ酸構造の一部が変化(発酵させたものを食べる、時間をかけて調理したものを食べる)→アレルギー反応抑制 日本の生活の中をみまわしてみると、その原理を利用して食べている食品が多い事が分かります。たとえば、味噌は大豆、米、麦が発酵しているため、これらを食べることで、大豆、米、麦のアレルギー反応を抑えている可能性があります。その他、しょうゆ(大豆、小麦)、みりん・酒・酢(米)、カツオ節(カツオ)、梅干(バラ科の果物)、野菜をじっくり煮たスープ(野菜)、漬物(野菜)、トウフヨウ(大豆)など。他の国にも同様な食品が、その国特有の食生活に沿った食品があります。キムチ(野菜)、魚醤(魚)、チーズ(牛乳)、ヨーグルト(牛乳)、ワイン(ブドウ)、ブランデー(大麦)などはその国で食べる重要な食品を発酵させたものです。したがって、これらを食べることで、ワクチンを使っていると同様の効果(中和療法と同じ)が期待できるかもしれません。日本人であれば、日本人の遺伝子に合った、大豆、米、野菜が食べられることができるように発酵食品を生活の中に取り入れることが大切です。

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