アレルギーっ子の生活

<04-03       2001年02月26日>

【アレルギーっ子のための母乳育児】

・妊娠中

乳頭の手入れや乳底マッサージを行います。

・出産直後

 生後なるべく早くに授乳させます。WHO(世界保健機関)の勧告では30分以内が望ましいと言われています。生まれてから時間ほどは赤ちゃんは活発に目をキョロキョロさせてまわりを見まわします。初乳が少しだけ出ます。赤ちゃんがおっぱいを銜えて吸うことで乳頭を刺激し、「母乳を出して下さい」とおっぱいに信号を送ります。
 初乳はお母さんが赤ちゃんに与える生まれて初めてのプレゼントです。初乳を吸うことで赤ちゃんの腸の粘膜は母乳に含まれる免疫物質IgAで覆われます。また、母乳中に含まれる免疫物質IgGは赤ちゃんの腸粘膜から吸収され、体全体に行き渡ります。これらの免疫物質は異物が赤ちゃんの体の中に入って来ないように働き、赤ちゃんの体を守ります。また、母乳には病原性のある細菌を殺菌する働きもあります。人工ミルクにはない母乳だけの大切な役目です。

・生後3日間

 この期間は泣いたら吸わせ、催乳させます。ブドウ糖はなるべく足さないようにします。哺乳びんを使った時間だけ乳首を吸う時間が減り、その分母乳の出が悪くなります。時間があったら、授乳させます。間隔は30分でも1時間でもかまいません。3時間以上はあけないようにします。
 1日15回以上が平均的。授乳時間は1回片方10分くらい。両方の乳房を吸わせます。この期間はもともと母乳の出ない時期なので、授乳前後に体重測定はしません。母親は分娩の続きと考え、眠くても頑張って授乳させます。母乳が出るようになれば、2−3時間おきの授乳になるので、眠れるようになります。授乳後は余った母乳を搾り、捨てるか、冷蔵して保存します。溜まっていた母乳はまずいので、次の授乳の時に赤ちゃんが吸わなくなってしまいます。

・4日目

 体重の減少が7−8%を越える時は、授乳前後で体重を計り、授乳量を調べます。あまりに、授乳量が少ないと判断したら、ブドウ糖を一時的に足します。授乳時、哺乳瓶は合成樹脂のビスフェノールA(環境ホルモン物質です)が溶けでる樹脂性のものは使わないで、ガラスの哺乳瓶を使いましょう。

・5日目

 体重減少が回復傾向にない時は、授乳前後の体重を計り、授乳量をみて今後どうするか検討します。ブドウ糖を一時的に足すか、人工ミルク(アレルギー予防のためにはアレルギー用ミルクMA−1を使うと良いでしょう。おいしくないので母乳を吸う量が減りません。)を足します。
 ブドウ糖やミルクを足す場合は、母乳−哺乳ビン−母乳と授乳させ、母乳を吸わせる回数・時間を滅らさないようにします。乳首を吸う時間が滅ると、母乳は出なくなります。
 母乳が出るようになってきたら、ブドウ糖やミルクは中止します。
 乳首は母乳と同じように噛む力をつけることのできるヌークの乳首を使いましょう。噛む力がつくと、離乳食の時に固い物を噛むことが上手にできるようになります。

・退院後

 「母乳は吸わせれば必ず出る」という信念を持って、授乳させます。
 退院直後も3時間あくことはまれで、2時間から2時間半おきぐらいの授乳(もちろん夜昼の区別はありません。)になることが多いのですが、頑張って乳首を銜えさせましょう。搾った母乳を哺乳瓶で飲ませていると母乳は出なくなってしまいますので、なるべく使わないようにします。
 反対に、赤ちゃんが5〜6時間も眠ってしまい、起きない時は、頃合いをみて起こし、なるべく3〜4時間ごとに吸わせます。
 母乳を飲んだ後、すぐに人工ミルクを足すと、赤ちゃんはよく飲みますが、母乳が足りない訳ではありません。赤ちゃんにとって人工ミルクはお菓子のようなものなのです。ミルクを飲むことを「母乳不足の証拠」にして、ミルクを足さないようにします。
 生後2か月頃より、おっぱいは張らなくなり、赤ちゃんに吸われるとわくように出でてきます。「張らないから、母乳が足りない」と勘違いしないようにしましょう。
 生後3か月ぐらいになると、授乳時間は3時間おきぐらいに一定してきます。
 体重がどんどん増えますが、他の子より身体が大きくなることが健全な発育ではありません。その子なりのペースで体重が増え、その子なりに首が座り、寝返りし、ハイハイをし、家族との絆を強くしながら、成長していく事が大切です。(健全な発育)=(体重の増加)ではありません。勘違いしないようにしましょう。
 力強く吸いつき、飲んだ後は一定時間眠り、うんちやおしっこをいっぱいしている時は、おっぱいは足りています。
 母乳の量が足りない時は、赤ちゃんがおっぱいに吸いつく時間が増えて乳首が刺激されるためホルモンが多く分泌されて、母乳の量を増やします。足りないなと思った時は授乳時間を増やすようにして、安易にミルクを足さないようにしましょう。授乳時間は片方30分以内、両方の乳房を吸わせます。それでも飲み足りない時は、もう1往復します。1回の授乳で2往復まで繰り返します。
 妊娠中から授乳中はお母さんの食べる食事も注意します。母親の食べた食事の内容により、母乳の味は変化します。お母さんが油脂の多い食事をしたり、アレルギーの原因になりやすい食品を多量に食べたりして出したまずい母乳、赤ちゃんの体質に合わない母乳は、嫌って飲みません。飲んでもすぐに吐いたり、ぐずり続けたりします。
 断乳は満1歳を過ぎ、赤ちゃんが歩き始め、お母さんから離れて自分一人で行動し初めた時(母親から、自立した時)で、体調が良い時に実行します(1歳3ヵ月から1歳6ヵ月くらいが多い)。
 母乳育児を通して、赤ちゃんとお母さんの心の絆をしっかりと結び、赤ちゃん下のびのびと成長していくための土台を作りあげましょう。

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