朝日新聞−2001年(平成13年)8月28日(火)

閉じこもりの青年見守って   ホームヘルパー 岩瀬 広居(千葉県 84歳)

 私も84歳、若くもない。今、35歳の男性のホームヘルパーをしている。
 18歳から自分の人生をやみに閉じ込めてきたこの男性を、私は4年間みてきた。緩慢だが良くなってきつつある。他人に接することを極度に嫌ってきた彼が、おくせず他人に接するようになること。さらに進んで他人に交ざり、何か軽作業が出来るようになること。この2つが出来ないかぎり、年老いた彼の両親に安らかな眠りはあるまい。私もこの2つを見たい。それからが私自身の仕上げになろう。
 私には12歳違いで同じ巳年(ミドシ)、72歳の妻がいる。長年、私を支えてくれた良い妻である。先年、お互い年をとったから、2人で旅行しようと車を新しくした。だが、他人の介護でどこへも行ったことがない。この約束は第一に果たしたい。老妻と手を携えて、桜、カエデの下を歩く。思っただけでも楽しい。
 それから二人で、庭の草取り。穏やかな日々、いたわりの日々。そして最後は、彼女のそはで静かに眠りたい。

子供への虐待 信じられない  中学生 阿部 桃子(東京都板橋区 13歳)

 最近よく児童・幼児虐得のニュースを見る。私はどんなことがあっても、自分の産んだ子どもを虐待するなんてひどいことだと思う。しかも、殺してしまったり、それを隠したりするなんて信じられない。
 育児の大切さも分からない私が、こんなことを言うのは生意気なのかもしれないけれど、小さい子どもは親しか頼れないのだから、親がしっかりと責任を背負って育てなければ、子どもを産んではいけないと思う。どんなに小さな命だって、それはものすごい偶然、奇跡の重なりの中でやっとできあがった大事なものなのだから、それを親の手によってなくすのは本当に残酷なことだと思う。
 人間は、動物の中でも親が子を育てる時間が長い。だから私は、親と子が一緒に過ごす時を大切にして欲しいな、と思う。

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