朝日新聞−2001年(平成13年)8月28日(火)

パソコン通信で中傷
反論で名誉棄損認めず 青森の女性の賠償訴訟

 パソコン通信上の「会議室」の書き込みが名誉棄損にあたるかどうかが争われた訴訟で、東京地裁の難波孝一裁判長は27日、青森県に住む原告の女性も反論の書き込みをしたことなどを理由に、請求を棄却する判決を言い渡した。
 原告は、接続業者の「ニフテイ」(東京都品川区)が書き込みについて削除などの適切な措置をとらなかったとして100万円の損害賠償などを求めた。
 判決はまず「言論による侵害には言論で対抗することが、表現の自由の基本原理だ」と述べた。そのうえで、別の会員による一連の書き込みが侮辱的だと認める一方、そのきっかけが原告の挑発的な発言であり、原告側も反論しているなどと指摘。「必要十分な『対抗言論』をできでいる以上、社会的評価が低下する危険性は消滅した」と述べた。 

立山紘毅・山口大教授(憲法)の話
 当事者が対等で対抗言論が保障されている場であれぱ、違法性の高い名誉棄損でない限り、賠償を必要としないという考えは以前からあるが、判決で示されたのは興味深い。インターネットでの書き込みに対しても通じる考えで、表現の自由を重視したといえる。


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