毎日新聞−2001年(平成13年)06月12日(火)

みんなの広場

「子供たちの受けた心の傷が心配」    パート 海老原真由美 32(東京都中央区)
 大阪の児童殺傷事件には、本当にやり切れない気持ちでいっぱいです。私が一番心配なのは、子供たちの心の傷の問題です。
 6年前の地下鉄サリン事件のとき、私の長男は多くの被害者が運ばれた東京・築地の聖路加病院と、事件現場の一つの茅場町駅の中間にある保育園に通っていました。夕方迎えに行ったとき、長男は「ずっと救急車のサイレンが鳴っていて怖かった」と抱きついてきました。
 半年ほど地下鉄に乗るのを拒み、夜、救急車の音がすると少しおびえていました。事件の現場にいたわけでもないのに心配しすぎだと当時は考えていました。
 今回は多くの子供たちが恐怖にさらされ、言い表せないほどのショックを受けているはずです。また、報道などで事件を知った全国の子供たちが自分と置き換えて考えたとしたら、広く影響が出るでしょう。

「一部マスコミの取材は常識逸脱」  無職 多久和 勲 60(兵庫県伊丹市)
 大阪府池田市の児童殺傷事件のテレビ報道を見て、取材活動を行う一部のマスコミ関係者は、もう少し常識をわきまえてもらえないだろうか、と感じた。
 事件の情報をできるだけ多くキャッチしたいという職業的意欲は分かる。そのおかげで私たちも状況を知り得るわけだけれど、取材活動をするうえでは、常識的な一線が画されているはずである。
 病院に運ばれた被害者の担架の進路を妨害するような行為はもちろんよくない。事件を目撃した児童たちに対して「犯人はどんな人だった?」とか、「刃物は持っていた?」などと質問しているのには、あぜんとした。
 ショッキングな事件を目の当たりにした幼い児童たちの今後の心のケアをどうするか。一刻も早く対策が講じられなければいけないときでもある。児童たちに恐ろしい情景を思い起こさせるような質問を繰り返すのは、自重してもらいたい。

「学校乱入殺傷 胸張り裂ける思い」  無職 岡田 次男 71(北九州市小倉南区)
 大阪府池田市の小学校乱入殺傷事件は、思いもしない青天のへきれきだった。
 近年の犯罪多発を危惧(キグ)していたが、まさか平和な学校の、しかも天使のような児童たちを襲うとは野獣にも劣る卑劣さである。
 突然にわいた阿修羅のような残忍さになすすべもなく、助けを求めるもむなしく、児童らの心情はいかばかりだったかと胸が張り裂ける思いである。可愛い盛りの低学年ばかり8人もの児童が死亡したニュースは、日本中の涙を誘ったことだろう。
 本紙9日朝刊によると、亡くなった男児の母親は、病院でシーツに包まれた我が子に「何で、何で」と声を上げた。「母さんが抱いてあげる」と語りかけながら、抱き上げたという。我が子にすがりつく母親の様子を伝えるくだりには、絶句して涙で読めなかった。 これから、被害者や関係者に対する十分なケアによる立ち直りと、類似事件の防止策を強く望む。

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