読売新聞−2001年(平成13年)05月15日(火)

ぷらざ

席を譲ってくれた95歳の女性

 雨の日、左手に傘と荷物、右手につえを持ってバスに乗り込んだ。動き出したはずみでちょっとよろめいた。と、近くの席から「どうぞ」と女性が立ち上がった。
 すっくと立った真っすぐな姿勢。でもその笑顔は80歳は超えていそう。とても好意に甘えられないと思って遠慮すると、「私まだ95歳、100歳には5年もあるの。今どこも悪くない。こういう時はあなたの方が腰かけるのよ」とまた、にっこり。
 すてきな笑顔に甘えて好意をお受けした。
 股関節に障害を持って10年。たくさんの人に親切にして頂いたが、こんな高齢の人からは初めて。
 下車し、さっそうと歩いて行くピンクと紺のツートンカラーのジャンパー姿を見送りながら、「100歳になられたころまたお目にかかりたいですね」と心の中でつぶやいた。(東京都板橋区・山影和子 69)

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