毎日新聞−2001年(平成13年)04月17日(火)

男の気持ち 援助から自立へ

 「自分の食事」(6日、女の気持ち)を読み、家族のきずな、規則正しい食事、栄養バランスの大切さに共感した。
 妻は3年間の闘病後、肺がんで他界した。慢性胃腸炎の私は、通院をしながらの独り暮らし。月曜と金曜の午後はヘルパーさんが来て、その日の夕食と翌日の分をつくりおきしてくれる。結婚し、郡山市に住む長女も毎週、水曜日に来て調理援助をしてくれる。
 そんな中で、自分でも料理をするようになった。定年まで中学の教師をしており、50代の時、山間の学校に単身赴任して自分で食事をつくっていたことがある。やっているうちに、手順を思い出してきた。
 みそ汁は、ワカメとトーフのスタンダードなものから、山菜や溶き卵にするなど15種類ぐらいのレパートリーがある。毎週火曜日は「マグロの日」と決め、近所の魚屋さんが届けてくれる新鮮な材料で刺し身をつくる。長女と一緒にてんぷらを揚げることもある。
 この年齢になると「何を目的に生きようか」と不安定な気持ちになるが、台所に立つことによって生活にめりはりが出てきた。「援助」から「自立」へと向かっている感じだ。
 好きなピアノを弾いたり、随筆を書くなど、結構、楽しくやっている。子供や孫たちもメールで励ましてくれる。こんなことができるのも規則正しい食生活のおかげだと思っている。
                                                福島市      野村慎   無職・78歳

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