毎日新聞−2000年(平成12年)10月17日(火)

加害者の行政処分内容被害者の紹介に回答

 交通事故の被害者対策として、警視庁は16日、加害者の行政処分内容に関する被害者遺族らからの問い合わせに、運転免許センターなどが応じる制度を導入することを決め、全国の警察本部に通達した。

 これまでは個別案件ごとに各警察本部の判断で対応が分かれていたため、加害者が免許取り消し処分になったかどうかさえ、被害者側に知らされないケースもあった。

 遺族らに回答する内容は、加害者の免許取り消しや免許停止期間などの行政処分結果と、起こした事故に課せられた点数評価。行政処分を行わなかった場合にはその事実も伝える。また、加害者の過去の違反行為による免許取り消し歴の有無、累積点数も、本件の行政処分に関わるため説明する。しかし、その場合には、加害者のプライバシーに配慮して、事故の内容までは明らかにしない。

 遺族らからの問い合わせには、加害者の住所地を所轄し、行政処分を担当する運転免許センターなどが対応する。事故を扱った警察署に対する照会も受け付ける。電話での問い合わせも可能だ。しかし、これは警察が、問い合わせた人物が被害者の遺族、重い障害を受けた本人や家族、委任を受けた弁護士などであることを確認した場合に限られる。

 加害者の行政処分結果は、これまで警察本部単位で、被害者らの要望に応じて知らせるケースもあったが、累積点数の有無などは控えていた。このため、同種の事故にも関わらず、行政処分結果に羞が出ることについて説明しきれないこともあったという。警察庁運転免許課では「事故の事実や加害者に対する処分を知りたいという遺族らの心情に配慮した」と説明している。

 【坂巻 士朗】

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