毎日新聞−2000年(平成12年)10月16日(月)

食物アレルギーの皮膚炎 肝臓保護の薬で改善

◆昭和大グループが確認◆

 食物アレルギーの治療は原因食物の除去と坑アレルギー剤投与が中心だが、これに加え、肝臓を保護する薬の投与でアレルギー症状を改善できる可能性があることを昭和大医学部の飯倉洋治教授(免疫学)らの研究グループが突き止めた。研究成果はオーストラリアのシドニーで開かれている国際免疫アレルギー学会で発表される。

 卵や牛乳などによるアレルギー症状には、じんましん、下痢、ぜんそくなどがある。飯倉教授らは、アレルギー性皮層炎がひどいと肝機能の指標となる酵素の検査値が高いケースがあることに着目した。卵白のたんばく質でアレルギー反応を起こすマウスをつくり、13匹に卵白を与えた後、皮膚炎に効く漢方薬を毎日体重10cあたり1_cずつ2週間投与した。この13匹の肝臓組織を調べた結果、漢方薬を与えないマウス群と比べると、炎症の指標となるリンパ球は1割、アレルギーと関係する免疫グロプリンは3割しかなかった。

 さらに、生後5カ月のアトピー性皮膚炎の男児に、外用薬と併用して、肝臓の代謝を促進し肝機能を高める薬を1日2回服用させたところ、皮膚炎の症状が数日で軽くなった。飯倉教授は「服用を忘れた日に再び顔が赤くなる症状が出たが、服用後2日でよくなったことからも、肝臓を保護する薬による治療の可能性を示せた」と話している。

                                                【松村由利子】

2000年10月分のニュースのindexページに戻る