読売新聞−2000年(平成12年)10月11日(水)

気  流

『アトピーの根本治療教えて』  派遣業 佐々木美佳 26歳 (横浜市)

 私は全身疾患の成人アトビー性皮膚炎です。やけどを負ったような状態で、日常生活も大変です。
 こんなことになったのは、長年のステロイド(副じん皮質ホルモン)剤の過剰投与によるものです。私たち患者は知識がないので、医師を信頼しています。ステロイド剤は、即効性はあっても、長年にわたる塗り薬や内服薬の使用、そして注射が、強い副作用も覚悟しなければならない治療法であるということを、医師はきちんと患者に説明してほしいのです。
 アトピーがなかなか治らないのは患者自身の生活習慣に原因があるようにもみられがちですが、重症患者はステロイド剤の副作用によることが多いことを医師の方はもっと真剣に受け止めて下さい
 私は外見のせいで、飲食業や接客業、受付などの職種に就くのを断られることもあります。精神的にも大変つらく、同じ病気の仲間には引きこもる方も大変多いのです。医療に携わる人たちには、患者の立場に立って根本治療を指導してほしいと強く希望します。

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母性を尊重する社会作りを』  塾経営 若林 幹夫 49歳 (札幌市)

 戦前までの日本には「男尊女卑」の風潮があったと言われるが、生命を産み育てるという母性が尊重されていたという点では「母尊女卑」の時代だったようにも思う。結婚して子どもを産み、子供たちを立派に育てることこそ女性が天から与えられた誇り高い天職であり、それを通して自己実現をすべきだと定められていたように思う。したがって、子供を産めない女性や社会で働く女性たちへの評価が低かったことは否めない。こうした女性にとっては、差別に満ちた不自由な社会だったのだろう。
 しかし、現代はその反動として「女尊母卑」の時代の様相を呈してはいないか。女性たち自らが、社会に出て働くことを高く評価し、母性への誇りを喪失してしまったかのようだ。少子化や少年犯罪が問題とされる中、生命を産み育てる母性への尊敬の念を、女性のみならず社会全体で回復し支援していくことが差し迫った課題だと思う。

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頑張りたたえたい』  中学生 亀井 佑紀 14歳 (埼玉県深谷市)

 シドニー五輪で日本の女子ソフトボールチームが米国に負け、銀メダルに終わった記事の見出しには、「無念の落球『金』スルリ」とあり、小関選手が転倒して落球した写真が載っていました。でも、小関選手だって落球したくてしたのではありません。雨のため足場が悪く、正確に捕球する方が難しかったのです。それに、ソフトボールはチームで皆で団結して、ミスをカバーし合う競技です。私としては、彼女たちの頑張りをほめた見出しにしてほしかったと思います。今回、団体球技でメダルを取ったのは、ソフトボールだけなのですから。