アレルギーっ子の生活

<09-01        2000年12月31日公開>

アレルギーカレンダー

1月

☆お正月☆

 一年の始まり。新たな気持ちで一年間を過ごせるように大切にすごしましょう。おもちはお米のアレルギーがある場合は食べすぎは厳禁。お正月中は食べるものも甘い物やお酒などになりがちです。野菜を食べることを普段よりさらに注意しておきましょう。一年の計は元旦にあり。これを忘れないように。1月7日は七草粥の日。野菜をたっぷり入れたお粥で正月中に疲れた体を取り戻しましょう。

2月

 2月になり、春はもうすぐそこまできています。そして、スギ花粉が飛びはじめます。花粉の準備しましたか? マスクの準備はしましたか? 眼鏡は用意しましたか? 玄関に着替える場所はつくりましたか? 部屋の中に洗濯物や布団を干す場所を準備しましたか? 布団には掃除機をかけていますか? 花粉に続いて、3月に入れば猫や犬の冬毛がぬけはじめ、花粉と同じように飛びはじめます。対策はスギの花粉と同じです。症状がひどくなって、鼻水の海の中に埋まってしまってからあわてないように、事前に準備をきちんとして、スギ花粉と猫毛・犬毛を迎えうちましょう。

☆豆まき☆−危ないピーナッツに注意!

 2月3日は節分。アレルギー子はちょっと注意!最近、まいた豆を拾って食べられるようにと保育所や幼稚園で殻付きのピーナッツをまくところがでてきました。ところがこのピーナッツ、アレルギーを持っている子どもが増えているため、豆まきのピーナッツを食べたり、殻の粉を吸い込んだりして喘息発作やじんましんを起こすことがあります。また、ピーナッツは4〜5歳ぐらいの子どもの気管にぴったりの大きさのため、間違って吸い込むと、声帯にぴったり入ってしまい、アッという間に窒息――という事故を起こすことがあります。大勢の子どもがワイワイ騒ぐ中で子どもにピーナッツを食べさせるのは危険です。節分の豆まきは今年も一年間、病気をせずにすごせますようにと、無病息災を願って行うもの。元々はお米をまいていたようですが危ないピーナッツよりは炒った大豆をまく方がよろしいでしょう。大豆は誤って吸い込んでも細い気管支に入り窒息することはありません。鬼(病気)に豆を思い切りぶつけて、子供たちの健康を願いましょう。

☆バレンタインデー☆−チョコレートのアレルギーに注意!

 バレンタインデー症候群・・これ何か知ってますか? 毎年、バレンタインデーのチョコレートを食べて、喘息発作やじんましん、嘔吐・下痢などを起こして病院へやって来る子供たちが多くいます。検査してみるとチョコレートに対するアレルギーがあります。バレンタインデーの日にチョコレートで病気になることをアレルギー外来ではバレンタインデー症候群というのです。元々、バレンタインデーはローマのキリスト教徒聖バレンタインを記念する祭日と、どこだかの島の何とかフィンチという鳥がこの日あたりにつがいをつくる事とを合わせて愛を告白する日、特に女の人が男の人に愛を打ち明ける日となったようです。チョコレートをプレゼントする事は後からだれかがやりはじめたことで、バレンタインデーとは関係ありません。アレルギーが多く高脂肪のチョコレートをプレゼントしても、アレルギーや動脈硬化を起こして病気になったのでは意味がありません。何かの形で心を伝えられるように工夫しましょう。お父さんには、「大好きよ」とほっぺにチュッとするのが最高です。
 バレンタインデーにはチョコレートではなく愛を送りましょう。

☆スギ花粉症の始まり☆

3月

☆ひなまつり・雛祭り・三月節供(せっく)☆

 桃の節供とも言います。雛人形を飾り、ひしもちや桃の花をそなえて、白酒で祝う女の子のお祭り。もともとは男女の区別はなく、子供が病気にならないようにと、子供の代わりに紙製の人形に病気や災難を背負ってもらい川に流す風習からきているようです。今のひな人形は江戸時代から明治にかけて人形作りの技術がすすみ、商業ベースに乗って広まったものです。アレルギーっ子のひな祭りはアレルギーの病気が悪くならず、健康でたくましく育ってほしいと願っておこないましょう。
 しまってあった人形を出すときはほこりに注意! 掃除機を横に置いて一年間たまったほこりを吸い取りながらお人形を出しましょう。ひなあられには卵白や合成着色剤が使われているもの、ピーナッツが入っているものなどありますので、注意しましょう。

 ひな祭りのころは、屋外ではスギ花粉が飛びまわっている真っ最中です。スギ花粉対策をしっかりしながら、楽しいひな祭りをして、子供たちの健康を願いましょう。

☆猫毛・犬毛☆

☆卒園式・卒業式☆

 春、お祝いの時はしまってあった服を久しぶりに出して使うことが多くなります。いきなり出して使ってしまうと、服についていたダニやカビ、防虫剤などでアレルギー症状を起こしてしまいます。使う予定のものは事前に準備しておきましょう。もちろん、お母さんやお父さんの礼服も同じです。特に、他のお家から借りてきたときは、掃除機をかけてからしばらくの間陰干しして、使う前にもう一度掃除機をかけてから使われることをおすすめします。

4月

入園・入学式

5月

☆端午の節供・五月節供☆

 今はなんとなく男のお祭りとして行われていますが、もともとは災難を避け、病魔をはらう大切な行事です。ショーブ湯やヨモギの人形を飾ったりすることは病魔よけの意味があります。

 5月の連休のこのころからイネ科の花粉(カモガヤなど)が飛びはじめ、スギやヒノキ花粉の疲れ、新入学や新学期の疲れ、春の衣更えによるダニの影響、連休の遠出や外泊などの疲れがたまるため、大きな病気を起こしやすくなります。5月5日の子供の日・端午の節供は子供たちの健康を願う日。これから始まる、疲れが重なる大変な時期を何とか乗り越えられるように、気持ちを新たに生活を立て直すちょうどいい節目になります。

☆カモガヤ等イネ科の花粉症☆−マーガレットなどキク科花粉症

 5月の連休過ぎからイネ科の花粉が飛びはじめます。足元に近い、スズメノカタビラから始まって、コヌカグサ、ナガハグサと背が高くなり、ヒロハウシノケグサからカモガヤなど背の高い(ちょうど中学生の口元ぐらいにまでなる)イネ科花粉が飛びはじめるころから、症状の激しい方が増えてきます。どこにカモガヤが生えているか確認しましたか?穂が出る前に草刈りをしてしまうことが一番いいと思いますが、アレルギーがある人は草負けするので長袖、長ズボン、軍手を忘れないように!
 この頃は、マーガレット、ハルジオン、タンポポなどキク科の花粉も飛びます。でも、風で飛ぶ風媒花は少ないので近づかなければ大丈夫。生えているところを確認しておきましょう。
 この季節、農村地域では農薬の散布がはじまります。とくに空中散布をする地域では農薬の被害を受けないように極力避ける努力が必要です。花粉と農薬を同時に浴びると花粉症は悪化してしまいます。
 この頃は、町内会でも殺虫剤や除草剤の散布がある時期です。自宅の周囲への散布は避けるように工夫しましょう。また、公園に散布した後数日間は公園で遊ばないようにします。

6月

☆春の衣更え☆

冬の服を着替えて、夏の服を出した時、秋の衣更えのときと同じように、しまってあった衣類や寝具はダニやカビ、防虫剤を落としてから使うようにしましょう。

☆梅雨と化学物質☆

 じめじめした梅雨に入ると湿度があがり、カビ・ダニが増え始めます。同時に室温が上がり、雨のために窓を閉め切ることが多くなります。そのため、室内にホルムアルデヒドや防虫剤・有機溶剤など揮発性の化学物質を出す場所があると、室内に揮発、充満し、吸い込んだ人に病気を起こさせます。梅雨前に、室内の汚染物質を修理・改修して取り除き、十分に換気できるように考えておきましょう。

7月

☆七夕☆

 中国では牽牛織女の伝記にもとづき、女の子が裁縫の上達を願う日です。日本には、古くから伝えられ、宮廷貴族の星祭となり、書道の上達や恋愛がかなうようにと祈るようになったようです。江戸時代に一般の人たちにも広まり、芋の葉の露で墨をすって、色紙の短冊(たんざく)に願いを書いて笹につるし、庭や玄関に飾って星祭りをするようになりました。

 アレルギーっ子の生活では、七夕のあと、梅雨が明ければ、アレルギーを起こしにくくなる夏がやってきます。楽しい夏がくることを祈って、短冊にいろいろな願いを書いてつるし、天の川にとどけましょう。

8月

☆月末☆−キク科の風媒花の花粉飛散開始

 8月も終わりに近づくと、キク科の風媒花、ブタクサの花粉が飛びはじめます。ブタクサの花粉は風に乗って飛ぶためキク科の虫媒花の花粉より遠くまで飛びます。注意しましょう。ヨモギは9月に入ると花粉が飛び始め、10月いっぱいは飛んでいます。この頃が、急に寒くなってダニやカビだらけの寝具を不用意に出し始めるころです。悪い条件が重ならないように注意しましょう。

9月

台風が過ぎた後、急に冷え込む朝に注意

☆お月見☆

 陰暦8月15日の夜の名月(十五夜、芋名月)、陰暦9月13日の夜のあと月の名月(十三夜、豆名月)を楽しむことです。月見団子とススキの穂をおそなえしてきれいな月を見ましょう。月のうさぎが踊っているかも。

 お月見が終わると、そろそろ秋。台風が1つ過ぎるたびに、寒さが増していきます。そして秋の衣更えの季節がやってきます。台風が過ぎた後の寒い朝、夏の間しまってあったダニやカビだらけのフトンや衣類を出してすぐ使うとあっという間にアレルギーの症状が始まってしまいます。お月見がきたら、すぐに秋の準備を始めましょう。(参照→秋の衣更え)

☆秋の衣更え☆

 9月の末になると台風が過ぎた後に、寒い北風が入り込み急に冷え込む朝がきます。この時、不用意にしまってあったダニやカビだらけ・防虫剤だらけの寝具や毛布、衣類などを出して使うと、急に気管支喘息やアトピー性皮膚炎の悪化、じんましんなどを起こしてしまいます。寒くなる前に、急に冷え込んだときの準備をしておきましょう。使う予定の寝具や衣類は9月に入ったらすぐに準備しておきましょう。

11月

☆七五三☆−5歳の男児、3歳と7歳の女児を神社に連れていき参拝する行事。

 古い昔、おそらく乳児の死亡率が高かったころ、3歳以下で死んでしまう子供が多かったのでしょうね。病気や飢えを乗りきって3歳になるとやっと人間の子供として社会的に認められたようです。3歳は「ひもとき」「おびむすび」(乳児の衣服とめるひもから、帯に変わる)などと言われ一人の人として数えられるお祝いの年令なのです。5歳の男の子は「はかまぎ」といわれ、女の子の3歳と同じような意味があるのでしょう。きっと、男の子は病気をしやすく、5歳までたどり着くことが女の子より難しかったのかもしれません。女の子の3歳と男の5歳はよくここまで育ってくれたとお祝いする、大切なときなのです。7歳は幼児から少年少女へ大人への一歩を踏み出す節目です。幼児の歯が抜け、大人の歯が生えはじめる大切な時です。7歳の「おびとき」は大人になっていくことをお祝いします。
 七五三が11月15日に行われるようになったのはこの日が霜月祭(イネの収獲祭)であることと重なって決められたようです。
 きれいな服を着て神社の参拝することは七五三の本質ではありません。しまってあった礼服や貸し衣装のほこりや防虫剤の揮発で具合が悪くならないように、注意しましょう。千歳飴で体調を崩さないように注意。そういえばうちの長女と次女も寒い中を塩釜神社に連れていってその直後に肺炎で入院してしまいました。お金をかけるより内容でお祝いしましょう。家族全員で写真をとっておくと、後で見たときに楽しいですよ。

12月

☆クリスマス☆

 クリスマスを毎年楽しみにしている家庭も多いと思います。でも、このクリスマス、きちんと考えておかないとアレルギっ子のとっては「クルシミマス」になってしまいます。
 クリスマスは何の日?と聴くとこんな答えが返ってきます。「ケーキをたべる日!」。毎年、12月24日を過ぎると、喘息発作や、じんましん、アトピー性皮膚炎の悪化、腹痛・嘔吐・下痢など、生クリームと農薬漬けのイチゴやチョコレートでできたクリスマスケーキをたべて起きた病気で来院する子供たちが増えます(当院ではこれを“クリスマス症候群”と呼んでいます)。普段は、食べないがんばってきた子も、ケーキが食べられないと「かわいそうなので」と買ってきたお父さんのケーキの誘惑に勝てず、食べてしまい、その夜からもっとかわいそうなことになってしまいます。かゆみで眠れなかったり、病院に行って、点滴をしなければいけないのですから。サンタさんだよ〜!
 どうしてクリスマスに、食べてはいけないイチゴのショートケーキを食べなくてはいけないのでしょうか?ケーキを食べないとクリスマスは来ないのでしょうか?

 クリスマスの起源――クリスマスは教会ではキリストの大降誕の意味。つまり、キリストの誕生日。でも、キリストがこの日に生まれたという証拠はないようです。12月25日が選ばれたのは、冬至つまり一年で一番昼間が短くなり、この日から昼が長くなるため、一年の変わり目として、新しい生活と活動を開始するときだという考えがあったようです。日本の大晦日とお正月の考え方とおなじですね。そのような考え方は、多くの民族が持っていたようで、とりわけローマ人が冬至に行った12月の収穫祭、農神サトゥルヌスの祭がキリスト教に受け継がれ、ヨーロッパの北方でクリスマスになったと言われています。クリスマスは様々な宗教、様々な土地での風習が混り合い、その土地々々でのやり方が出来上がってきたようです。サンタクロースは4世紀のころにいたトルコのミュラの民衆に親しまれた司教、ニコラスだと言われています。本来は12月6日が聖ニコラスの日で、オランダやベルギー、スイス、オーストラリアやドイツの一部では、この日の前夜にニコラス聖人がよい子には贈り物を、悪い子には小枝を持ってくると子供たちに教えるのだそうです。オランダの移民の人たちがアメリカで聖ニコラスの愛称であるシンター・クラウスと呼んでいたのがサンタクロースとなり、クリスマスのプレゼントと結びつき、アメリカで赤い衣服を着た長靴の老人として、世界に広まったのです。つまり、クリスマスには決まったものはないのです。クリスマスケーキもアメリカと日本のケーキ屋さんが考えたことで、ケーキがないとクリスマスが来ないわけでもありません。クリスマスはお家の状況に応じて自由に考えてお祝いしてもいいと思います。特に、この日だけクリスチャンの真似をする人は、型にとらわれる必要はありません。

 我が家ではクリスマスは次のように考えています。1年の節目になるため、家族みんなが1年間無事に健康に過ごせたことをお祝いし感謝します。ご飯や野菜やお魚やお肉を食べてこられたことに感謝します。家族や友人と楽しいひとときを過ごす時間をつくります。そして、サンタクロースを呼んで子供たちに「よい子だったね」とプレゼントしてもらいます!

 実際、行うことは、まず食べものは日本人が一番大切にしなければいけない食べ物、おかゆや炊き込みご飯と味噌汁でもいいし、ピラフと野菜スープでもいいでしょう、お米と野菜を中心に食事をします。デザートは卵や牛乳・(小麦)は使わないで、おいもや果物を使って、みんなで食べられて、病気にならないもので、いつもよりちょっと甘くておいしいものを作り、感謝のお祈りをしてから食べます。お友達を呼んで、家族で練習した手作りの人形劇を披露することが7年間続いています。この時、みんなが集中して楽しんで遊べなくなるため、食べ物は基本的にありません。ゲームをしてみんなで楽しみます。参加したお友達にも劇をしてもらったり、手品や楽器の演奏等も披露してもらいます。12月24日の夜はおりこうな子供たちにサンタクロースがプレゼントをおいていくことでしょう。

 クリスマス時のケーキは、一度に大量に作るため、作ってから口に入るまでの時間が長くなります。ひどい場合は3日以上前に作った物を食べることになります。そのため、イチゴは腐ったりしない農薬漬けの輸入イチゴになります。もちろん、この時期のイチゴは季節外れです。農薬のついていない国産のイチゴはすぐ悪くなるため使えません。クリスマスのイチゴショートケーキは最悪の可能性があります。

 食べてはだめな市販のケーキを食べて、吐いたり喘息発作を起こして、ケーキを食べたことを後悔しながら、“クルシミマス”をするより、みんなが食べられるものを食べて食べ物があることに感謝し、1年間の成長と健康をみんなでお祝いすることのほうがどんなに幸せでしょう。日本の悪い習慣にアレルギーっ子が乗せられる必要はありません。まわりの真似をして苦しむより、家族みんで考えた、あなたのお家の特別な楽しいクリスマスを過ごせるようにしましょう。

☆大晦日☆

 一年も終わりの日。そばアレルギーのある場合は、年越しそばにご注意。せっかくの新たな年をアレルギーの病気で始めないようにしましょう。なぜソバを食べるでしょうか?なが〜く健康でいられますようにと言う意味で、細長い麺を食べるようです。アレルギーっ子はソバでなくても、ウドンが大丈夫な人はウドンを、お米の麺でも、雑穀の麺でも、ビーフンやクズキリでも、なが〜くなると思います。そして、心新たに新しい年を迎えましょう。

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