アレルギーっ子の生活

<08-11      2002年01月15日(火)公開>

【化学物質】

 以前から、柔らかい塩化ビニール製品の中で、変な化学物質臭のするものは嫌で避けていました。例えば、塩化ビニール製のクッションや浮き輪などです。あの匂いをかぐと頭がしめつけられるような感じがし、吐き気がしてきます。どうも、これは環境ホルモンと言われている塩化ビニールに可塑剤として使われているフタル酸エステルが原因のようです。

 次女が小学校6年生の時、有機溶剤の使われた接着剤を使って人形の家具を作っていました。すると、次女が徐々にイライラしていく様子がよく分かりました。口数が多くなり、怒りやすくなり、怒り出すと止められなくなります。ちょっとしたことで泣きわめきます。慌てて、接着剤を取り上げ、空気のきれいなところに移しました。

 98年3月、長女の中学校の卒業式がありました。ついに9年間の義務教育が終わる日です。お弁当を持って通い続けた9年間でした。よく頑張ったものだと褒めてあげたい気持ちでいっぱいです。
 ところが、式場は1ヶ月前にできたばかりの体育館。中に入ると、床のウレタン塗装から揮発する有機溶剤(トルエンなど)の臭いで充満していました。これは!!と唸りましたが、大切な娘の卒業式です。出席しないわけにもいきません。
 この日は特別寒く、朝の最低気温は−3℃。体育館の窓は締め切られ、館内には大きな暖房装置がうなりをあげています。室温が上がるにつれ揮発が増え臭いがきつくなります。こんなこともあろうかと持ってきたマスクの中に木綿のハンカチをたたんで入れ、有機溶剤を吸着させことにしました。しかし、式は2時間、だんだんとハンカチに吸収できない有機溶剤が鼻から入ってきます。目は開けているとしみて痛いので必要な時意外は開けずにいました。歌も歌うと吸い込んでしまうので歌わずがまんしました。徐々に頭痛がはじまり、胸が痛くなってきました。卒業生200人、在校生200人、父兄300人それに先生たち、誰も文句を言わず有機溶剤の中で「酔いしれて」います。
 20日ほど前に「シンナー乱用防止」のビデオを養護教諭や校医の先生たちと見て勉強したばかりでした。「シンナーは神経に障害を起こします」という文字が頭に浮かびます。隣のお母さんが「新しい体育館の匂いがする」と良い匂いをかいだように囁いていました。
 みなさんはこの状況をなんとも思わないのでしょうか?咳こんでいる人はかなりいましたし、在校生の何人かは具合が悪くなって出て行きました。他にも、具合が悪くなった人は少なからずいるはずです。シンナー常用のきっかけをつくったかもしれません。化学物質過敏症に少し近づいた人もいるかもしれません。十分な換気が必要なのです。化学物質を多量に使って揮発が多い新しい建物は危険がいっぱいです。私なら、しめきったこの体育館の中で運動をしたくはありません。

 長女がピアノを伴奏して卒業生が歌を歌いすべての進行が終わりました。やれやれ、やっと終わったと体育館を出て新鮮な空気を吸い込みました。

 喜ばしいはずの卒業式でしたが、複雑な心境でした。

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