アレルギーっ子の生活

<06-16      2001年07月31日(火)公開>

【アナフィラキシー症例に対する負荷テスト】

 原則的にはアナフィラキシーを起こした食品は負荷テストを行っていません。その理由は以下の通りです。

@アナフィラキシー自体が激烈な症状を起こすため、たとえ医学的な判断が必要だとしてもあの最悪の状態を患者さんに体験させることは許されないことだと思うからです。このことはアナフィラキシーの子を持つ親としての気持ちが多分に入っています。負荷テストで再びアナフィラキシーを起こすとアナフィラキシー自体はおさまってしまったとしても、しばらくの間は過敏な状態になってしまい、他のアレルギーを起こしたり現在合併しているアレルギー疾患を増悪してしまうことがあります。

Aアナフィラキシーは様々な条件がそろわないと発症に至らないと考えています。負荷試験中に起きる最悪の自体を想定して、入院した上で負荷試験をすると、自宅で生活していた時にはあった他の悪条件が重ならず、アナフィラキシー原因物質を負荷しても症状は現れず、負荷試験陰性の可能性が高くなります。アナフィラキシーが起こらず他のアレルギー性疾患として現れることもあるでしょう。従って、入院中の負荷試験陰性=食べてもいいと判断できるかどうか疑問です。もちろん、自宅で何の救急対策も取らないまま負荷試験をすることは人道上してはいけないことです。

Bもし、負荷試験をする場合は、最悪の自体(ショック症状から死亡までのこと)を想定して、できる限り最大の準備をした上で行わなければいけません。アトピー性皮膚炎など、症状が出現しても直接死に至ることがないような病気とは違うことをすべての医療スタッフと患者さん本人・家族の方が認識していることが必要です。そして、患者さんはそのような体制がとれる病院で負荷試験をしてもらわなければいけません。安易な負荷試験は危険な事態を招きます。

C患者さんに負担にならない何らかの検査方法が開発されることを期待していますが、現在の段階ではありません。一番安全な方法は、患者さんが幼少の場合はアナフィラキシーを起こす原因となる物が見つかったらなるべくそれを遠ざけ食べないようにし、その物質が何に含まれ、どこに存在し、もし食べてしまったり触ったり吸い込んだりしてしまった時にどう対処していいのか理解し実行できる年令まで待ってあげることです。おそらくそれは抽象的な概念が一定でき上がってくる中学生以上だと思われます。この頃には腸管の働きもしっかりしてきて、体調がよければ多少食べても急激な反応は起こりにくくなります。これは、成長し発達していく子供たちの特徴です。大人、特に年配の方でアナフィラキシーを起こした場合は、一生注意を払った方が得策だと思われます。様々な条件に左右はされますが、再発を繰り返す可能性が高いように思われます。

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