アレルギーっ子の生活

<04-14    2001年05月12日公開>

【アレルギーっ子と食品添加物】

 食品添加物は食べ物の中に含まれる物質ですが、私たちが食べて生存のためのエネルギーにするものとは違います。作った加工食品が腐らず長持ちするため(防腐剤、保存料、酸化防止剤)、色をきれいに見せかけるもの(発色剤、漂白剤、人工着色料、天然着色料)、いい香をつけておいしそうに思わせるもの(人工香料)、食品を柔らかくして舌触りをよくするもの(結着剤)、うまみをつけておいしくみせかけるもの(アミノ酸、グルタミンソーダ)、水と油を混ぜて分離しないようにするもの(乳化剤)など多くのものがあり、それぞれの目的のために食品に加えられています。食品添加物を気にせずに加工食品を食べ続けると一日8〜11gもの食品添加物を食べることになります。1年間では3〜4Kgも食べて、それを処理しなければなりません。アレルギーっ子にとっては大変なことです。表に気をつけたい食品添加物を書き出してみました。自然な状態で食べ物の色やつやをみて臭いをかぎ、食べられるかどうか判断し、素材そのものがもつ香りと味や舌触りで楽しみながら食べる。この生きるために必要で大切な行動が食品添加物のためにだいなしにされています。食品添加物の入っていない自然な食べ物を食べるように心がけましょう。

 非ステロイド系消炎鎮痛剤に過敏な場合(アスピリン喘息・アスピリン過敏症とも言われます)、保存剤・人工着色剤・人工香料・漂白剤(亜硫酸塩)・ベンジルアルコールなどにも反応することがあります。

添加物名 化学名 アレルギーっ子に不都合な作用 含まれる食品・薬品
保存剤・
防腐剤
安息香酸、
安息香酸ナトリウム、
パラオキシ安息香酸
(パラベン)、
ソルビン酸カリウム等
アレルギーの症状を引き起こす。解熱鎮痛剤で異常な反応を起こす人の場合は保存剤でも起こすことがある。
パラベンはエストロゲン作用(女性ホルモン様の環境ホルモン作用)があることが疑われている(参考文献1、2)。
ハム、ソーセージ、かまぼこ、イクラ、チーズ、ウニ、マーガリン等
小児用シロップ剤
一部の副腎皮質ホルモン剤など
人工着色剤 食用黄4号、黄5号、
2号、赤3
102号、
1号、青2号など
同上 あめ、キャンディ、チョコレート、アイス、かき氷用シロップ、駄菓子、漬物、清涼飲料水、タラコ、辛し明太子、イクラなど
小児用シロップ剤、着色された薬すべて。
人工香料 アセト酢酸エチルなど、
「香料」と記載
同上 菓子などさまざまな食品
小児用シロップや粉薬など飲み薬
天然の
サリチル酸
サリチル酸 解熱鎮痛剤・保存剤・人工着色剤・人工香料等に過敏になると、自然の状態で野菜や果物に含まれるサリチル酸にも反応することがある。 柑橘類、トマト、イチゴ、パイナップル、ブドウ、アーモンドなど木の実、キュウリ、はちみつ、緑茶、ウーロン茶、香辛料(コショウ、パプリカ、シナモンなど)に多い。カレー粉には大量にサリチル酸が含まれる可能性がある。これらの食品は、暑いとき、熱が高い時にうまく利用するとからだの熱を下げることができる。
天然着色料 コチニール






ラック色素

サボテンにつくエンジ虫の雌のお腹を乾燥させたものから抽出。衣類の虫除け用染料。発癌性が言われている。虫にアレルギーがある人はアレルギーを起こす可能性がある。

ラックカイガラ虫が自分のからだを守るために樹液を吸って分泌する物質より抽出
栄養ドリンク、イチゴミルクなど赤やピンクに着色されたお菓子や飲み物





食品の被膜、着色。ホルムアルデヒドの揮発を押さえる塗料(ランデス・シェラック)として使われている
発色剤 亜硝酸ナトリウム、
硝酸ナトリウム
発癌物質ニトロソアミンができる ハム、ソーセージ、イクラ、スジコなど
漂白剤 亜硫酸ナトリウム、
亜硫酸水素ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウム、
メタ亜硫酸カリウム、
亜硫酸ガスなど
アレルギー反応を起こす。漂白された輸入エビで唇が腫れあがることがある カンピョウ、コンニャク、エビ、果物砂糖シロップ漬け、乾燥果物など
ワインには酸化防止剤として使用(飲んだ後に頭痛を起こすことが多い)
酸化防止剤 ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、
ジブチルヒドロキシルアニソール(BHA)など
発癌性が指摘されている 魚介冷凍品、煮干しなど魚介乾燥品、魚介塩蔵品、バター、油脂など
パーム油、パーム核油
ビタミン剤に含有あり
ガムベース 酢酸ビニル ガムにを噛んだ後に残るゴム状のガムベースはアカテツ科サポディラの樹液(チクル:ゴムの一種)と酢酸ビニル樹脂のポリマー(モノマーの重合体)を混ぜたもの。酢酸ビニルモノマーは発癌性のあることが96年に労働省から通達された。ゴムにアレルギーがある場合は注意。 ガム、木工用接着剤など
結着剤 ピロリン酸カリウム、
ピロリン酸ナトリウムなど
リンの摂取が多くなり、カルシウムの吸収が減少する ハム、ソーセージ、かまぼこ、インスタントラーメン、ラーメンの麺、スナック菓子、アイスクリームなど
アルコール アルコール分何%と表示 1%以下は表示されないため、小さな子供が知らずに口にして酔っ払っていることが多い オロナミンCなどの栄養ドリンク剤、強壮剤、チョコレート菓子など
乳化剤 グリセリン脂肪酸エステルなど
天然の大豆レシチン、
卵白レシチン
高分子の異物の吸収を高めアレルギーを起こしやすくさせる アイスクリーム、シャーベット、マーガリン、マヨネーズ、チョコレート、乳飲料、缶コーヒー、パン、チューインガム、魚肉ソーセージ、ケーキ、プリン等
薬のカプセル、携帯用吸入器などに含まれている
様々な食品 アミノ酸、
グルタミン酸ソーダなど
大量に食べると中華料理症候群(顔の発赤、頭痛、めまい、吐き気など)を起こすことがある。味覚がわからなくなり、自然な味を楽しめなくなる。  
遺伝子組み換え食品 植物エストロゲン、および未知の化学物質 遺伝子を変化させた結果、どんな物質が作られるか予測がつかない。 大豆・菜種・トウモロコシなど市販の油脂・醤油・みそなどの原材料。
環境ホルモン物質(外因性内分泌かく乱物質) ビスフェノールA
スチレンダイマー・トリマー

フタル酸エステル類


ノニルフェノール
体内の正常な内分泌・神経・免疫の働きをかく乱して、生体維持機能を乱してしまう。 ポリカーボネート製食器や哺乳瓶、缶詰内側被膜
カップ麺容器、乳酸菌飲料容器など


塩化ビニール可塑剤に添加、おもちゃや赤ちゃんの歯がためなど

塩化ビニール製ラップなど




 子供たちが食品添加物のことを理解し、食品添加物の入っている食品を食べないようにすることは大切なことです。しかし、これをきちんと理解する力を持つには中学生以上の思考能力が必要です。小学生の子が実行するためには、いつも身につけられるカードが必要ではないかと考えました。アレルギーっ子のサマーキャンプで子供たちに配ったものですが、参考にして下さい。

食品添加物カード
しょくひんてんかぶつ

ひとつでもはいっていたらダメなもの

着色料    黄4 黄5 青1 赤102 赤3など
        「色・番号」は石油から合成の色
        コチニール(エンジむし)
ソルビン酸K
亜硝酸Na
漂白剤
亜硫酸塩
乳化剤・香料
…………………………………………………
アレルギーがあるとダメなもの

だめなものに○をつけておきましょう
「乳」がつくもの
      牛乳、乳製品、練乳
「卵」がつくもの
      鶏卵、卵白、卵黄、
      卵レシチン
「油」がつくもの
      植物性油脂、サラダ油
      大豆油、コーン油
      紅花油、サフラワー油
小麦(パン・うどん・麺)・イースト
ソバ(香辛料)・ゼラチン・ゼリー
大豆(納豆・豆腐・おから)・
ピーナッツ(落花生・ナッツ)
(                         )

               1996/7あすなろ会

参考文献

1)大石眞之(東京都立衛生研究所毒性部薬理研究科):パラベンの雄ラット性腺系への影響、環境ホルモン学会第3回研究発表会要旨集:2792000

2)佐藤かな子、長井二三子、青木直人、西島基弘(東京都立衛生研究所):パラオキシ安息香酸エステル(パラベン)類のヒトエストロゲン受容体αとβ結合作用、環境ホルモン学会第3回研究発表会要旨集:3392000

「アレルギーっ子の生活」最新ページへ戻る       第4章『アレルギーと食べもの』のindexページに戻る       前ページ(No.04-13)ページに戻る       次ページ(No.04-15)に進む      このページに飛んできた「元のページ」に戻る