アレルギーっ子の生活

<03-01         2000年07月31日>

 【環境の汚染とアレルギー】

伝達化学物質による細胞間の情報伝達

  人間の体は行動性を高く保つため、巧妙に体内と体外(環境)を分けています。外界の変化(温度や湿度など)に機敏に反応し、さらに衣服や住居などによって体内の恒常性を保っています。皮膚・消化管粘膜・気道粘膜が体外と体内を分け、体外からの異物の侵入から体を守っています。体の中では内分泌・神経・免疫(アレルギー)がホルモン・サイトカイン・神経伝達物質などの化学物質による細胞間の信号伝達をおこない、巧妙なネットワークを作り体内の様々な機能を正常に保っています。このネットワークがしっかりしていれば、人間は環境に適応できる高い能力を持つ事ができ、健康を維持できます。ところが現代社会では皮膚・消化管粘膜・気道粘膜の働きを攻撃して壊してしまう化学物質や、体内に侵入して内分泌や神経・免疫の正常な働き(伝達化学物質による細胞間の情報伝達など)を乱れさせる環境汚染化学物質(環境ホルモン物質など)が生活環境中に数多く存在します。これらの物質の多くは、人間が人工的につくりだしてきた化学物質です。

 本来、アレルギー反応は、体内に侵入してきた異物を認識し体外へ排出するために発達してきた新しい生体防御機構です。壊された防御壁を越えて侵入してきた外界異物に対して人間の体はアレルギーを起こし、体外へ排除しようとします。体が健康なときには、アレルギー反応を起こすと同時にアレルギーを抑える力が生まれ、体に大きな傷害が起きないように反応を抑えこみます。

 ところが、環境汚染化学物質(環境ホルモンなど)はアレルギーを抑える力を混乱させるため、アレルギー反応は歯止めが効かなくなり暴走し、強く激しく起こり、アレルギーの病気を引き起こしている可能性が考えられています。実際に、いったんかゆみが始まると止まらなくなり、皮膚を掻き壊してしアトピー性皮膚炎を悪化させる、吸いこんだ異物を排出しようと咳が始まると止まらなくなり気管支喘息になってしまう、吸いこんだ異物を出健康状態を維持するためには“内分泌系”と“神経系”と“免疫系”のバランス(=安定)が必要そうとくしゃみ、鼻水が始まると止められずアレルギー性鼻炎を起こすなど、行き過ぎた反応のためにアレルギー性の病気が引き起こされています

 また、神経系統のコントロールがつかなくなると、神経は暴走し、怒り出すと止まらない、泣き出すと止められない、いったん悲しみに襲われるとそこから抜け出せないなどの状態に陥ってしまいます

 汚染が起こると自然の持つ浄化能力が働き、汚染は取り除かれます。動物の排出する二酸化炭素、または、ヒトが石油を燃やしてできた二酸化炭素が大気中に増えれば、植物たちが二酸化炭素を体内に取り込み酸素に変えます。水や土や、森に排泄された汚染物質は水中の生物や植物、土の粒子、木や葉っぱなどに吸着され取り除かれます。花粉等も大気中の汚染物質を吸着して地上に落ち、土に返しているとも考えられます。しかし、現在の地球上では汚染は過剰に進行し、自然界の浄化能力を超えようとしています。そのため、地球自体の健康が危ぶまれています地球が病気になればそこに住む私たちヒトも健康ではいられません内分泌・神経・免疫・アレルギーのバランス

 環境汚染の進行は、アレルギー性疾患の急増という形で警告されていると考えることができます。

私たちが、今、行わなければいけないことは、
@自ら環境を汚染しないこと 
A自分の体の持つ汚染浄化能力や活性酸素を処理する能力を充分に高め、保護すること 
B自然の持つ環境浄化能力を大切にする(森林や河川・海、土や空気の保護)ことです。

生活環境とアレルギー

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