アレルギーっ子の生活

<01-03         2000年03月29日公開>

【日本人が日本人としての生き方を取り戻すために】

  アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎を始めとするアレルギー疾患の増加は、生活環境の変化に敏感に反応できる体質を持った人達が送っている「生活環境が悪化していますよ」という注意信号と考えることができます。哺乳類、動物としての人類が、生き生きとすごすために必要な食・衣・住環境が崩されつつあります。環境の悪化が過度になり、体の中でうまく処理できなくなったときに、アレルギー症状は現われます。アレルギー体質の方は、自分の身の回りのことに少し注意を払えば、より健康な生活を送ることが出来ます。アレルギーを起こしにくい生活実現のための知識を身につけ、生活環境をよい方向に変えていく事は、アレルギー体質を持った人が健全な社会生活を送るための生活の知恵です。また、このような生活環境の改善はアレルギーのない方にとっても、成人病を予防し、健康な生活を送るための土台となります。

アレルギー治療の目標を次のように考えています。

(1)アレルギーを起こしにくい食生活/単一食品の多量摂取を避ける/食品添加物、農薬、配合飼料中の抗生物質・ホルモン剤・色素剤・輸入食品のポストハーベスト等をなるべく避けた食生活。特に、獣肉油脂・レバー・牛乳・卵・魚・貝・魚卵の油脂に生体内濃縮・蓄積された脂溶性の環境汚染物質を避けた食生活。

(2)成人病(生活習慣病)の予防/砂糖・動物性脂肪・リノール酸・塩分の過剰摂取を避ける/発癌物質の摂取を避ける〔(1)と同じ〕/食物繊維を多く食べる(未精白玄米・雑穀、豆類、海草)/炭水化物をきちんと食べる。(砂糖は少なくする)/適量の蛋白質を食べる。

(3)地域の伝統食を引き継ぐ

(4)日本人の体質に合った食習慣の確立と発展/地元で生産された穀物(米や雑穀)・野菜・豆類・海草を中心に、旬を大切にした食事+植物性油脂+魚貝・動物性脂肪・蛋白質

(5)健康的な生活リズムの実現−子供らしい遊び、勉強、生活体験

(6)健康的な生活環境の実現−ダニ・カビ・花粉の対処、汚染物質の対策、換気など。

又、これを実現するために、子供たちには次のような力をつけていって欲しいと願っています。

(1)自分が健康に生活していくために必要な食品を選べること

(2)(1)を実現するために、本物の味を見分けられる味覚と知識を持つこと−化学調味料に慣らされた舌では、自然で素朴な本物の味はわかりません。手作りの食べもので舌を大切にしましょう

(3)自分の味覚(舌)を育てる努力−本能的に持っている甘味と塩味だけにとらわれず、酸味や苦味も味わえるように経験しましょう。いろいろなものを食べてみる中で、「あっ。これも、おいしい」という発見が大切です。

(4)健康な空腹感が生まれるような生活リズムの確立−よく遊びよく寝て、健康な空腹感で食事することが大切です。だらだら食いは最悪です。

(5)食品が自然の状態からどのような人たちの、どのような努力によって目の前にあるのかがわかること−作られかたがわかると、食べ方もおいしさも違ってきます。

(6)自分が健康に生活するために必要最低限の料理(素材から作り上げる)ができること−御飯の炊き方、だしの取り方、味噌汁・澄まし汁・野菜スープ・煮物の作り方・魚のおろしかた・扱い方、肉の扱い方は最低必要です。

(7)以上を土台にして、衣・食・住に健康な生活環境を築きあげる力を持つこと−ダニやカビ、花粉や化学物質などに対する体の守り方(つまり、掃除の仕方)も知って欲しいですし、きちんとした生活のリズムの作り方も必要です。

以上の事を実現するためには、良い食品を手に入れなければなりません。知り合いの方などの力を借りて、努力して下さい。良い食品を手に入れる努力は必ず、良い食品を作ってくれる生産者の人たちを増やし、良い食品を増やすことにつながります。また、より良い生活環境実現のためにも、日頃から努力しましょう。子供たちが健やかに育ち、その子の持つ力が充分発揮できますよう、願っております。家族の人とi一緒に、頑張りたいと思います。

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